『オン・キャンプ/オフ・ベース』展
『オン・キャンプ/オフ・ベース』展は、1996年8月1日から25日まで「東京ビッグサイト」で開かれた『アトピック・サイト』展に併設する形で10日から19日まで実施された展覧会で、大榎淳+FIU Japan(自由国際大学)として参加しました。他に参加したのは、C.L.I.Project、照屋勇賢、レベッカ・ウォーレン、国民投票、藤浩志、会田誠、八谷和彦、木村稔、小沢剛、宮前正樹、ボブ&ロベルタ・スミス、HCS+KAI(Handicapped Consumer Service+工房絵)、津田佳紀など計43作家/グループ、メインの『アトピック・サイト』は、サラエボのFAMA、ヴァディム・ザハロフ、スザンヌ・レイシーなど、7作家/グループ、キュレーターは両展ともに柏木博、岡崎乾二郎、建畠晢、高島直之、四方幸子です。
大榎淳+FIU Japan(自由国際大学)の作品は、観光地などで今も見られる顔出し看板で、象の檻、天皇とマッカーサーの写真、新宿駅西口のホームレス、原子力発電所をモチーフにしたもの。「東京ビッグサイト」という観光地を訪れた人たちが、パネルから顔を出して記念写真を撮って「なにこれ、変なの」と感じる、その違和感を出発点に、社会問題を意識するようになることを意図しています。
『アトピック・サイト』展に出品した「沖縄プロジェクト」の作品とシューリー・チェンの作品が、当時社会問題となっていた沖縄の通称「象の檻」、楚辺通信所の返還・不法占拠問題、米兵少女暴行事件を扱っていたことから、東京都の職員と電通などの広告代理店によって内容の変更を迫られ、さらにその「検閲」が問題になると、それから注意を逸らすかのように『オン・キャンプ/オフ・ベース』展に参加していたシェリー・ローズの作品『ボバルーン』をわいせつの疑いがあるとして、白い布でふんどしのように覆うということに。シェリー・ローズの作品への「検閲」は朝日新聞などの主要紙で、また当時人気のあったニュース番組『筑紫哲也 NEWS23』内の街頭インタビューコーナー「異論!反論!OBJECTION」でも取り上げられ、「政治」から「わいせつ」へと問題はすり替えられました。「日本の事情をよく知らないアメリカ人女性アーティストが起こしたちょっとした誤り」という扱いにされてしまったというわけです。
自由国際大学ではアート・ストライキ、C.L.I.Project 有志と共催で『希望的都市生活のためのAtopicなTopic―「アトピック・サイト」展、「オン・キャンプ/オフ・ベース」展での表現規制、検閲問題―を巡って』(報告者:小倉利丸)という集会を開き、問題を追及、またイトー・ターリ、大平透、田崎英明、守谷訓光、4人の連名で公開質問状を作成・送付しています。