Free International University Japan 12/23/2001


ミーティングのお知らせ
丸木美術館で反戦詩画展「Oh No! 報復戦争」
前回のミーティングの報告
カンパへのお礼と会計報告
ステッカー第2弾「Bomb」と「Our Grief」
白川昌生『美術、市場、地域通貨をめぐって』ほか、何冊かの本の紹介


ミーティングのお知らせ

アメリカは北部同盟を軍事支援する一方、1万発を超える爆弾をアフガニスタンに落とし、タリバン政権を崩壊させました。今や焦点は、ビンラディン氏とオマル氏の殺害または捕捉とタリバン後の政権、多国籍軍の派遣に移っています。パレスチナでは、イスラエル軍がアメリカと同じ論理でパレスチナ自治政府を攻撃し、アメリカは国連安保理で拒否権を発動、一度は合意された和平は遠のき、多くの人が犠牲になっています。
すでにアフガニスタン国内では、北部同盟のラバニ大統領派とドスタム将軍に近いイスマイル派との戦闘が起き、また多国籍軍の受け入れをめぐっての確執もあるようです。アメリカは多国籍軍には加わらず、対テロ戦争の次の標的をイラクかソマリアに定めているという話もあるように、戦争は拡大していく一方という状況です。
2001年も終わりに近づき、今回も暗い話題を取り上げなければならないのは残念ですが、そうしないわけにはいかないでしょう。会場が千駄ヶ谷区民会館になります。間違えられませんように。
日時=12月23日(日) 午後6時30分~9時30分
会場=千駄ヶ谷区民会館会議室1号(渋谷区神宮前 1-1-10 Tel.03-3402-7854 JR原宿駅竹下口下車 徒歩8分)http://www.city.shibuya.tokyo.jp/ku/est/guide/kmkaikan/km_sendagaya.html
参加費=1,000円


丸木美術館で反戦詩画展「Oh No! 報復戦争」

故丸木位里・俊夫妻の作品を中心に展示する丸木美術館で、反戦詩画展「Oh No! 報復戦争」が開かれます。1999年、2000年と連続して行われた企画展「Piece For Peace」の第3回になりますが、今回は美術家だけでなく、詩人たちも参加します。
作品の募集はすでに終わっていますが、この6月から館長に就任した針生さんが出品依頼のために書いた文章を、丸木美術館のウェブサイトにおかれているものですが、下に紹介します。

丸木美術館企画展<Piece For Peace 2001 ―「Oh No! 報復戦争」詩画展―>出品のお願い
2001年9月11日、アメリカで軍事経済の中心をおそった「同時多発テロ」は、6000人を超える各国市民をまきぞえ犠牲にし、わたしたちも深い衝撃を受けました。
アメリカのブッシュ大統領は「これはもう戦争だ。それに対抗するには報復戦争しかない」と言明し、G7など大国首脳の同意または支援を取り付けて、米英正規軍がアフガニスタンに一方的に軍事攻撃を開始したことには、一層大きな憤りを禁じ得ません。
わたしたちの怒りはまず第一に、このようなテロの原因ないし背景をなしている、アメリカが長年にわたって世界の警察国家であるかのようにどこへでも出兵して、一極武力支配を続けてきた上に、「グローバリゼイション」の名の下に自国の経済システムへの服従を強制してきたこと、それを全く顧みずに力づくで一極支配を維持強化しようとしていることです。
第二に、ブッシュ政権は「テロを容認するか、それに反撃するか」の二者択一で「中間はない」との考えを世界中に踏み絵のように押しつけて、多くの国を新たなテロの恐怖にさらしていること。
第三に、「テロの犯人も、それをかくまう勢力も同罪だ」と宣言して、外国の侵攻と内戦が続くアフガニスタンの国民をまきこみ、この国の民衆をさらなる窮乏のどん底に突き落とし、イスラム諸国に「ジハード(聖戦)」の意識を高め、果てしない戦乱の泥沼化に追いやろうとしていることです。
わたしたちは、小泉首相がこの間にとってきた、ブッシュ大統領の報復戦争に即座に賛成し、ワシントンまで出かけて支援のために必要なことを何でもすると申し出、憲法や周辺事態法との関係すらあやふやなテロ対策特別法を国会で多数決採決して、是が非でも自衛隊派遣の実績を作ろうとする対米追従のやり方には、あくまで反対です。これまでアラブ諸国と一応友好関係を保ってきた日本の首相としては、報復戦争ではなく外交的手段でアラブ諸国とテロ克服の対策を相談し、それをアメリカに取り次ぐような役割をこそ求められていたはずです。小泉首相のどさくさまぎれに海外派兵のための憲法改悪の一歩を踏み出そうとする態度は、断じて許すことができません。
すでにアメリカ、ヨーロッパ、日本でも、報復戦争に反対する集会、デモ、声明が相次いでいますが、丸木美術館の創立者丸木位里・俊夫妻が存命ならばまっさきにその意志を作品に表現したものと思います。丸木美術館は、心ある美術家、詩人に呼びかけます。<Piece For Peace 2001 ―「Oh No! 報復戦争」詩画展―>を今年末から来年はじめに開催したいと思います。むろん、かつて日本各地を巡回した<アパルトヘイト・ノン>国際展にみられたように、そのテーマに積極的にとりくむ作家もいれば、自分の年来のスタイルを守りながら抗議の意志を暗示する作家もいたので、どちらを選んでくださっても結構です。お忙しいと思いますが、アメリカと日本の政治家たちへの批判、アフガン民衆への同情、アジア民衆との反戦連帯の訴えなど、自由に作品をこの展覧会にお寄せくださいますようお願いします。
2001年10月 (財)原爆の図 丸木美術館 館長 針生一郎

会期=12月18日(火)~2002年3月30日(土)
12月23日(日) オープニング
2002年1月13日(日) 作家トーク
会場=財団法人原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市下唐子1401 Tel.0493-22-3266 東武東上線、森林公園駅下車3.5キロ、タクシー12分(駅南口)、徒歩50分、レンタサイクル20分(駅北口)、東松山駅東口より市内循環バス「唐子コース」運行(日祝除く)、浄空院入口下車徒歩5分[東松山駅から浄空院入口 8:05、10:35、12:55、15:20、浄空院入口から東松山駅 11:27、13:47、16:12])http://www.aya.or.jp/~marukimsn/
開館時間=午前9時30分~午後4時30分(3月は午前9時~午後5時)
休館日=月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始12月29日~1月3日
入館料=大人700円、中学生・高校生500円、小学生350円
常設展=原爆の図連作、南京大虐殺の図、アウシュビッツの図、水俣の図、丸木スマ・位里・俊の作品(水墨、油絵、絵本原画等)


前回のミーティングの報告

反戦アクションの第2弾としてミーティングをストリーミングはしたのですが、モニターが上手くいかず、結果として音声が途切れ途切れにしか流れなかったようです。すみませんでした。
前回同様、たくさんの指摘や報告がありました。覚えている範囲で箇条書きにします。

  • 9月11日の映像を見て、不謹慎と言う人もいるかもしれないが、心底すごいと思った。そのイメージが与えた衝撃をどう受け止めるのか、それを出発点とするべきなのに、安易な善対悪の物語にすぐに回収されてしまった。
  • ホワイトハウスのホームページか何かで確かめてみないといけないが、アメリカ政府は「報復」という言葉を使っていないという話もある。相手が何を言っているのか、やろうとしているのか、はっきりつかまないと揚げ足を取られる。(ホームページで確かめたところ、9月20日の両院議会での演説の中でブッシュは、「私たちの(テロへの)返答は、即時の報復や分断的な攻撃よりはるかに多くのものを含んでいる。アメリカ国民は、ただ1つの戦闘ではなく、これまでみてきた(湾岸戦争やユーゴスラビア空爆)のようなものではない、長期的な戦いを予期すべきだ。」[Our response involves far more than instant retaliation and isolated strikes. Americans should not expect one battle, but a lengthy campaign, unlike any other we have ever seen.]と、報復[retaliation]の言葉を使い、大規模な戦争を行うことを宣言している。)
  • テロ現場の瓦礫の片付けに入っている消防士が、人数を減らされることに対して抗議しているという報道があったが、報道のとおりだと全部で250人ぐらいしか撤去作業を行っていない。本当に片付ける気があるのだろうか。
  • メディアの中で、アメリカのテロ被害者の価値とアフガニスタンの人たちの価値が全く違う。アメリカのテロ被害者の場合は、連絡を求めて張られている行方不明者の家族のメモが映し出され、ドキュメンタリー番組が作られ、亡くなった人がどういう人だったのかまで報じられるのに対して、アフガニスタンの人たちはどうだろうか。
  • アルジャズーラが放映したビンラディン氏とアルカイダ幹部のビデオを放送しないようアメリカ政府はアメリカのTV各局に求め、TV局はそれを受け入れた。
  • 日本のTV局で、アルジャズーラと契約してその映像を流すところはないのだろうか。(現在、スカイ・パーフェクトTVが一部日本語でアルジャズーラの試験放送を行っている。)
  • ジャン・ジュネが書いているが、イスラエル兵が男女のカップルに変装して熱烈なキスを交わし、警備のパレスチナ少年兵の隙を突いてレバノンの市内3カ所でPLOの幹部を暗殺した時、西側のメディアはそれを「芸術」と表現したという。また、人を殺害した場合に、パレスチナ人が行うと「殺した」と書かれ、イスラエル兵が行うと「倒した」と表現された。
  • イギリスのメディアは、ジャーナリストの質が良いのか、アメリカのものよりはまともに思える。
  • TVでパレスチナ問題が取り上げられるが、国連安保理の決議に反してイスラエルがパレスチナを占領し続けていることは、まったく触れられない。
  • 衆議院で社民党の辻元清美が小泉に「オスロ合意を知っているか」と質問したが、小泉は上方を見上げるだけで、「オスロ合意」が分からないようだった。辻元も指摘していたが、中東問題の基本的なことも分からず、アメリカにただ追随して自衛隊を派遣する姿勢は、非常に危険だ。
  • ハーバード経営大学院でブッシュを教えた霍見芳浩は、「ブッシュはできの悪い学生で、あんなのを大統領にしたら、戦争しか能がないんだから大変なことになる」と大統領選の時に書いていたが、本当にそうなってしまった。
  • パキスタンへの経済制裁が解除されたが、核実験の実施に対して行われていたもので、それに対して日本が何も言わないのはおかしくないだろうか。
  • カシミールのことが取り上げられるが、紛争はずっと続いている。あそこは独立時に領主がヒンズー教徒だったのでインドに入れられたが、住民はムスリムだ。
  • 『現代思想』、ロッキング・オンから出ている『インサイト』、『図書新聞』などいくつかの雑誌が特集を組んだ。『インサイト』の中に吉本隆明へのインタヴューがあるが、吉本は結局のところ戦争を容認している。ぼけたとは聞いていたが、嘆かわしいことだ。
  • 10月に行われたニパフの公演「駆け抜けるリアル! ニパフVSアジアン・ビッグ」で参加アーティストの多くが、9月11日のテロ事件を取り上げ、感動的だったと聞いた。
  • ステッカーを東京都現代美術館で開かれている村上隆展の講演会で配ってきた。講演会は「戦争画」をテーマにしたもので、村上隆、椹木野依、美術手帖編集長の楠見清と針生さんが出席した。村上は、9月11日のテロ事件の映像とアニメや映画からの戦闘場面、ナチスや太平洋戦争のドキュメンタリーからの映像を繋いだ映像を見せ、椹木は、「戦争と暴力のイメージが、サブカルチャーの中で保存されてきた」とし、「戦争画はサブカルチャーかもしれない」と彼の仮説を提示していた。
  • 戦争反対のデモに出くわしたが、ダサくて活気もなかった。ジョン・レノンの『イマジン』を流していたが、音割れがひどく、『イマジン』という曲に対する冒涜とさえ思えた。反対のデモを行うだけ、ほかの人たちよりましかもしれないが、あれでは参加する気にならない。
  • 駅前にステッカーを張ったが、小さい方しか持っていなくて、小さいのだとぜんぜん見えない。
  • ステッカーの小さい方は、「携帯に貼ってね」と言って渡せるので渡しやすい。
  • ペシャワル会の中村哲さんにパキスタンで会ったことがある。かなり大きな病院を建て医療援助を行っているが、飢饉が起きてからは、アフガニスタンに自分たちで井戸を掘り、食糧援助を始めていた。
参加者=大榎淳、大平透、田島和子、針生一郎、守谷訓光、八鍬瑞子(敬称略)


カンパへのお礼と会計報告

大榎淳さん、加藤到さん、田島和子さん、田渕伸子さん、波田ひろ子さん、前田敏行さん、松澤宥さん、八鍬瑞子さん、若江漢字さん、カンパありがとうございました。心より感謝いたします。
10月から11月の収支です。
収入
参加費=5,000円
カンパ=56,400円
計=61,400円
支出
会場費=2,200円
通信費=7,040円
紙代=525円
封筒代=283円
宛名ラベル代=960円
お茶代=312円
ステッカー制作費(「War is also」2000シート+増刷分1000シート)=34,534円
計=45,854円


ステッカー第2弾「Bomb」と「Our Grief」

上の会計報告にありますように、たくさんのカンパをいただきました。第1弾として作った「War is also terrorism」のステッカーは好評で、第2弾のステッカーを配った時に尋ねてみましたが、置いてもらった所でもすぐに無くなってしまったそうです。
第2弾のステッカーですが、デザインは前回と同じ「Posters for Peace」http://reclaimthestreetsnyc.tao.ca/posters/からのものです。アフガニスタンでもまだ戦闘は続いていますし、今後の展開も不透明ですが、タリバン軍のカブールからの撤退といったような急展開があるとも思えなかったので、「War is also」の小さい方をまず増刷し、第二次大戦後アメリカが爆撃した国とその年を爆弾の中に入れた「Bomb」と、戦争が始まってしまう前にデザインされたものですが、「Our grief is not a cry for war」(私たちの深い悲しみは、戦争を求めているものではない)の2つを作りました。その後で、「War is also」の大きい方を前回の半分ぐらいの大きさで透明シールにして作るつもりでいたのですが、これは保留にしています。現在イスラエル軍がパレスチナに侵攻していることを考えれば、こちらを先に作ったほうがよかったと思っています。
丸木美術館の反戦詩画展でも置いてもらう予定ですが、多少手元に残っています。欲しい方、あるいはどこかに置いてもらえる場所のある方は、遠慮なく守谷(Tel./Fax.03-3395-6175 kunimiz@tka.att.ne.jp)まで、種類と枚数と送り先を知らせてください。よろしくお願いします。


白川昌生『美術、市場、地域通貨をめぐって』ほか、何冊かの本の紹介

以前から地域通貨をテーマにしたミーティングを持ちたいという話があり、美術家の白川昌生さんが地域通貨をテーマにした個展をモリス・ギャラリーで開いたと聞いていたので、1度招いて話をしてもらえるといいと思っていたのですが、『LR』誌に連載したものに大幅に加筆、訂正したものが本になりました。現在の美術―制度(市場)と、それに対するオルタナティヴとして地域通貨という「作品」について考察しており、大いに参考になるのではないかと思います。
イスラムについて知りたいという声もあったので、宮田律『現代イスラムの潮流』を、また「人道」という言葉にだまされないように最上敏樹『人道的介入』も紹介しておきます。中立的過ぎてつまらないかもしれませんが、ともにコンパクトで読みやすい本です。
白川昌生『美術、市場、地域通貨をめぐって』水声社、2,800円+税
宮田律『現代イスラムの潮流』集英社新書、660円+税
最上敏樹『人道的介入』岩波新書、700円+税



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