Free International University Japan 10/1/2019
* 芸術概念を拡張せよ!―「表現の不自由展・その後」の展示再開へ向けて
* 「表現の不自由展・その後」実行委員会へのカンパのお願い
* 開館25周年記念 ヨーゼフ・ボイス展 新収蔵、旧清里現代美術館・伊藤コレクション
芸術概念を拡張せよ!―「表現の不自由展・その後」の展示再開へ向けて
2015年の宮城での合宿以来なので4年ぶりになりますが、以下のようにミーティングを開きます。「あいちトリエンナーレ2019」において「表現の不自由展・その後」が展示中止になったことについては、新聞、テレビ、ネットニュース、SNSなどを通じて皆さんご存じのことと思います。「芸術」概念の拡張という観点から「表現の不自由展・その後」をサポートしていこうという趣旨です。SNSを使われている方は情報を拡散してくださると本当にありがたいです。
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の参加作品のひとつ「表現の不自由展・その後」が、開催して3日間で展示を中止された。その原因となった脅迫やテロ予告は犯罪行為であり決して許されないが、河村たかし名古屋市長や菅義偉官房長官をはじめとした政治家の介入も「表現の自由」を保障する憲法に明らかに違反している。「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会会長で、安全上の理由から展示中止を決定した大村秀章愛知県知事、芸術監督の津田大介氏は、「表現の自由」の重要性を強調するが、「表現の不自由展・その後」実行委員会との協議には応じず、同実行委員会はやむなく展示再開を求める仮処分を名古屋地裁に申し立てることになった。9月25日、大村知事は「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」の中間報告を受けて、「条件を整えた上で再開を目指したい」と表明。26日、文化庁は予定していた補助金を交付しないと発表。影響は日本の社会・文化全体に及んでいる。
事件は新聞、TV、ネットニュースなどで大きく取り上げられ、WebメディアやSNSを中心に多くの意見、コメントが発表され続けている。さまざまな団体から出された抗議文や声明文に代表されるように「表現の自由」を擁護する確固とした意見があることは頼もしい限りだが、一方で政治的に偏向しているとか、プロパガンダだとか、「表現の不自由展・その後」の展示内容に対する批判も多く目にする。
「表現の不自由展・その後」の展示は今も見ることのできない状態に置かれているが、それは各地の美術館、ギャラリーなどで展示を拒否され、また改変を余儀なくされた作品を、その理由とともに示すことで規制を受ける日本の表現の現状を明らかにする。キム・ソギョンさん、キム・ウンソンさんの「平和の少女像」や大浦信行さんの「遠近を抱えて」など展示されている作品はそれ自体も芸術作品として高く評価されるものだが、「表現の自由」の回復を図ろうとするこの企画自体も芸術として見ることができるのではないか。また、展示中止を知り抗議の意思を表すために自らの作品の展示を中止、あるいは展示内容を変更した作家たちの行為は芸術ではないだろうか? 「芸術」の概念を社会に向けて拡張するとき、「表現の自由」が再び侵害される状況を憂慮し、すぐさま署名運動を立ち上げた人たち、先に触れた声明文、抗議文を発表した人たち、デモやスタンディングで展示中止に抗議する人たちの活動は芸術ではないのだろうか?
ドクメンタをはじめとする海外の芸術展では、社会的・政治的な作品が数多く発表されてきている。「あいちトリエンナーレ2019」もその流れに沿ったものであることは確かだろう。「表現の不自由展・その後」の展示が再開されないとき、社会的・政治的と言われる作品は日本において成立するのだろうか? それは単に社会的・政治的であることを装う、きれい事に終始してしまうのではないか?
「表現の不自由展・その後」実行委員の小倉利丸さん、Change.orgで展示再開を求める2万6千筆以上の署名を集め、大村知事宛てに提出した美術家の井口大介さん、「東アジアのYASUKUNISM展」共同代表で『韓国の民衆美術―抵抗の美学と思想』の著者、古川美佳さんらをゲストに迎え、「芸術」とは何か、政治との関係も含め、改めて考えていきたい。
日時=10月1日(火)19時~21時30分
会場=日比谷図書文化館スタジオプラス【小ホール】(〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1-4 Tel. 03-3502-3340 東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線霞ヶ関駅下車徒歩3分、都営地下鉄三田線内幸町駅下車徒歩3分 https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/#access)
ゲスト=小倉利丸さん(「表現の不自由展・その後」実行委員)、井口大介さん(美術家)、古川美佳さん(朝鮮美術文化研究)ほか
司会=大榎 淳(メディア・アーティスト、自由国際大学)
定員=60人(先着順)
会費=無料
問い合わせ=info@fiu.jp
主催=自由国際大学 www.fiu.jp
協力=アート・イン・オポジションa&s研究会(芸術と特異性)
「表現の不自由展・その後」実行委員会へのカンパのお願い
「表現の不自由展・その後」実行委員会では、展示の再開を求めて「〈壁を橋に〉プロジェクト」を行っています。9月13日には展示再開などを求める仮処分を名古屋地裁に申し立てましたが、裁判費用だけでなく、集会などの開催、会合への出席、東京―名古屋の往復の交通費など、相当の費用が掛かっています。実行委員には、自由国際大学の古くからの参加者であるアライ=ヒロユキさん、設立当初からイベントなどに出席いただき、お世話になっている小倉利丸さんもいらっしゃいます。余裕のある方は下記の口座へカンパをお願いします。
口座名=表現の不自由展実行委員会
郵便振替=10140-94898811
ゆうちょ銀行=店番018 普通9489881
「表現の不自由展・その後」実行委員会については、下のウェブサイト、SNSを参照してください。また、「表現の不自由展」で検索してもなかなか出てこない(「表現の不自由展公式サイト」で検索すると一番上に表示される)のですが、「表現の不自由展・その後」の出展作品、作家については、「表現の不自由展・その後」公式サイト(https://censorship.social/)で見ることができます。
実行委員会公式サイト=http://fujiyu.net/fujiyu/
Facebook=https://www.facebook.com/hyogennofujiyu/
Twitter=https://twitter.com/hyougen_fujiyu
開館25周年記念 ヨーゼフ・ボイス展 新収蔵、旧清里現代美術館・伊藤コレクション
カスヤの森現代美術館で、ヨーゼフ・ボイス展が開催されています。2014年に惜しまれつつ閉館した清里現代美術館が所蔵していたボイス作品のうち40点をカスヤの森現代美術館が引き継ぎ、同館ですでに持っていた作品と共に展示するとのこと。ぜひお出かけください。
毎週月・火・水曜日は休館です。また10月3日(木)は予約制イベント開催につき一般の見学は12時までですので、ご注意ください。
会期=2019年8月10日(土)~10月6日(日) 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
会場=カスヤの森現代美術館(〒238-0032 神奈川県横須賀市平作7-12-13 http://www.museum-haus-kasuya.com/index000.htm)
休館日=月・火・水
入館料=一般600円、学生500円(小学生300円)
問い合わせ=Tel.046-852-3030 Fax.046-852-7488 info@museum-haus-kasuya.com
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